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事例紹介
2015年04月20日 (月)
ファミリー日本家屋自然/緑/水辺部分的な
東京都稲城市。
多摩エリア南部に位置するこの街は、ほんとにのんびりしてのどかな街です。「何も」ないと言ってしまえば「何も」ないのかもしれないけれど、地元の名産であるナシの果樹園や、野菜の無人直売所があちらこちらにあって、いい意味で『東京』のイメージを裏切ってくれます。
また、市の名前が付いたナシの品種「稲城(いなぎ)」は、ほとんどが直売で販売されているため市場には出回らないのだそう。一度、食べてみたいですね。
さて、今回はそんな稲城で生まれ、稲城で育ったIさんのリフォーム事例を紹介します。自宅の二階に、生まれたばかりのお子さんの為「ぷれいるーむ」をつくることになりました。
住宅地のなかだけど、ときどきこんな田畑が視界に入ってくる。
Iさんは現在、奥さまと1歳になるお子さんとの3人暮らし。築45年にもなるこちらの戸建てに住み始めたのは、14年も昔のことだそうで・・・。いろいろとお話をお伺いするなか、面白いお話をしてくれました。
「父は2年前に亡くなったのですが・・・実はこの家。中古で購入した後は、父と、時には母にも手伝ってもらいながら、自分たちで改装したんです。」と。
実は、Iさんのお父さんは、金属をプレスする工場を営んでいて。手先も器用だったらしく、小さい頃は大工になりたかったみたい。
見ようみまねで大工仕事を始めてみたら、意外とできちゃって。それで、解体工事に始まり、木工事、設備工事、内装、建具、ましては足場、外壁の塗装まで、ほとんどをご自身たちでつくりあげたのだ、とか。
ご自身たちでつくりあげたという1階のLDK。塗り壁で仕上げた落ち着いた雰囲気。
「ひえー!!それはすごい。」
「毎週 休みを利用していたのですが、工事が終わったのは、スタートから5年後のことでした。」と笑って話してくれました。
おかげで持っている工具がプロ仕様だったり、足場やら資材がそのまま置いてあるわけだ。当時は手に入れられる材料の選択肢も少なく、いろいろと苦労したのだそう。
そんなIさん家族に、新しい命が生まれたのは昨年のこと。外装、庭、1階については自分たちでつくりあげたものの、2階は途中で終わっていて、引き続いて仕上げてほしいとのご依頼でした。
「でも、これだけご自身で出来るのであれば、またご自身でつくってはいかないんですか?」とお聞きしてみたところ、「子どもが生まれたので、2階の部屋を早く整えてあげたいんですよね。」とのこと。
「なるほどー。」
こうして、Iさんの想いのこもったご自宅の改装を引き継ぎまして、2階をつくり変えていくことになったのでした。
解体中の様子。天井や間仕切り壁を取り払った。
今回の改装は、2階にある続き間の2部屋を「ぷれいるーむ」とすること。
ただ、そのままワンルームにしても広すぎるので、空間は「洗濯スペース」「書斎コーナー」「収納」「ぷれいるーむ」の4構成として、仕上げの素材は統一しました。
内装については、自然素材を出来るだけ使いたいと、Iさんのイメージにあった建築家 中村好文さんのLEMM HUTを参考に、素材をチョイス。珪藻土、無垢フローリング、シナ合板をメインの素材としています。
珪藻土を塗る左官工の中本さん
丸太梁を研磨する塗装工の加藤さん
また、柱・梁・木枠などはそのまま見せて塗装仕上げに。塗料は、健康や環境に配慮した水系の保護塗料を使用しています。床には、表情豊かなオークの無垢フローリングを張り…。
今回は、お住まいしながらの工事でしたが、1階に生活スペースを確保出来たので、工事中は生活動線とうまく分けることが出来ました。工事も1ヶ月かけて無事に終了。木の質感と珪藻土で囲まれた心地のいい「ぷれいるーむ」が完成しました。
4面からの採光で明るい空間に。高さもあって気持ちがいい。
陽だまりの気持ちいいバルコニー。デッキ材には、新たにイペ材を張りました。
新しく設けた書斎スペース。上部には、収納用のロフトスペースをつくった。
(左)洗濯&手洗いスペース (右)書斎には工業用照明を
2階は日当たりがよくて、とても気持ちがいいです。風の通りもいいので、正直、昼寝したくなりました。1階のこもった雰囲気とは、また違った雰囲気で過ごせるのも良さそうですね。ここでの日向ぼっこは最高だと思います。
これからどういう風に使っていこうか、まだまだ思案中だというIさん。
ハイハイしたり、歩いたり、昼寝したり、おもちゃで遊んだり・・・お子さんの成長とともに、この場所でいろいろな思い出が出来てくれると嬉しいなあ、、、と一人ほくそ笑むのでありました。
全部で14畳。これだけ広いと自由にハイハイもできて、楽しそうですね。
そのまま再利用したレトロなガラス障子
(撮影:古末拓也)