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事例紹介
2014年12月22日 (月)
フルスケルトン賃貸リノベ都心暮らし
知る人ぞ知る、神宮前の人気ヴィンテージマンション「ビラ・シリーズ」。
そんな「ビラ・シリーズ」の2作目となったビラ・セレーナの完成は1971年・・・40年の時を超えて今なおファンに愛され続ける名作です。設計は かの建築家ル・コルビジェの弟子であった坂倉準三氏。
明治通りから小さな小道に一本入ると、黄色×白色のコントラストの美しい建物が、ひっそりと でも気品高く佇んでおります。今回は、そんなビラ・セレーナの一室をフルリノベーション。オーナーさまからの依頼で、賃貸向けの改装となりました。
とはいえ、室内は43年前の間取り。
暗くて使いにくい給湯室や当時の水回り設備をそのまま使うのもちょっと・・・。内装は比較的キレイでしたが、賃貸に出すことを考え、間取りの変更とともに手を加えることとなりました。
(左)もともとのトイレ・洗面・浴室/(右)もともとのキッチン
オフィス? 住居? もしかしたら、オーナーさまが住むかも?
いろいろな検討を視野に入れながらも、可能性は狭めず 打合せを進めていくことに。
最終的にはオフィス利用も想定して、どーんと広いスタジオタイプのプランとなりました。一方で、水回りも新しくして、住居としても使える計画にも。
工事の方とは言うと、これが、なかなか手強いやつでして。
解体してみたら、床下が40センチほどあって地中梁が出てきたり、間仕切りはブロック壁だったり、水回りは土間コンクリートが厚く打たれていたり、床下で基礎が立ち上がっていたり。
また、排水管についても下階の天井裏を通るスラブ貫通型が主流だった時代に、床下で配管されていて、屋外の竪管まで横引きされていました。当時の先進的だったであろう構造が垣間見え、それはそれで興味深かったです。
解体中の様子。床下はふところが深く、地中梁と設備配管が・・・
はてさて、そんな現場での苦労もありながらも、工事は無事に終了しました。いったん賃貸には出すものの、後にご自宅として利用する可能性も残しつつ。オーナーさまのこだわりが詰まった改装となりました。
まずは、部屋の雰囲気をつくり出しているこのダークブラウンの床。これは「ハックベリー」というニレ科の無垢フローリングです。オーナーさまがお好きなアンティーク調の雰囲気に合わせて、ココナツ色にオイル塗装しました。特徴的な木目は、独特な雰囲気ですね。
構造上 取り外せない柱には足場板を張り合わせ、こちらも床に合わせてオイル塗装しています。また、ポイントとなっている挿し色のペイント壁は、オーナーさまが当初から使いたいと思い入れのあったカラー。濃いめの床にもよく映えて、物件の個性を引き出してくれましたね。
外壁のイエローと 室内のミストグリーンの色合いが、なんだかポップで可愛い。
トイレ・洗面・浴室の水回りスペースは一つの空間にまとめ、白を基調としたシンプルな内装に。床はモルタルで仕上げ、ステイン塗装でムラ感のある表情を加えました。
オーナーさまがこだわった浴室には、グレーのタイルを貼ったハーフユニットのバスルームに。大きな窓とガラス戸から光が差し込み、とても気持ちのいい場所となっています。ほんとに気持ち良さそうなので、「一度、入ってみたい!」と個人的に思うほどでした。
浴室からの眺め。光が差し込み、明るくて気持ちのいい場所に。
その他にも「タイル」「デザインフックパネル」「トグルスイッチ」などオーナーさまのこだわりがあちこちに散りばめられて。なんだからしい物件に仕上がってくれたと思います。
募集後は、すぐに借り手さんも決まったようで。建物と同様 永く愛される物件となれば、これ幸いです。
スペースの脇に取り付けたシンプルなステンレスキッチン。
キッチンタイルは、エスニックな印象の名古屋モザイク・コラベル
(左)玄関には取り付けたデザインフックパネル/ (右) toolbox トグルスイッチ と、 kwikset ドアノブ