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事例紹介
2014年03月07日 (金)
日本家屋賃貸リノベ
昭和38年に建てられた築50年の木造住宅。池袋からは2駅、西武池袋線「東長崎駅」から歩いて1分ほどの路地先に、この住宅はひっそりと佇んでいました。
路地奥に、ひっそりと佇む本物件。
間口は狭く、2.5間。いわゆる「うなぎの寝床」ですが、50年前のしつらえをそのまま残しており、南側には小さいながらも庭があります。
ごつごつした富士の溶岩石、昔ながらの灯籠、小さなモミジ、古井戸・・・。
そんな昭和の時代を感じさせるこの建物も今では住むヒトもいなくなり、空き家となってしまいました。幼少期をここで過ごしたオーナーさまも、壊してしまうのはなんだか味気ないなぁと、再生して賃貸に出せないかとご相談に訪れたのでした。
工事前の2階|3部屋が続き間となっていた。雨戸を開けてみると意外に明るい。
駅前だけどひっそりとした環境で、池袋まで2駅という立地。91m²。
そんな条件から、30~40代+子ども世帯のファミリー層を想定しながらも、SOHOとしても利用できる計画を考えていきました。また、周辺の家賃相場から賃料や回収期間を想定し、かけるべき費用も考えながら。
ただ、そうは言っても建物は築50年。水まわりの設備などもかなり古く、傷みもあります。築50年の木造住宅ということもあって構造的に不安も・・・。また、3室の続き間となる現状の2階の間取りでは、プライバシーも保てない。
ただ一方で、いい感じの古さもある。2階の窓は閉めっぱなしになっていたようですが、開放してみると意外と明るい。また、庭には素敵な紅葉。
と、以上のことを踏まえ、改装のポイントは以下の通りに。
・当時のしつらえを活かした内装に
・庭への視線と採光を活かした2Fの間取り変更
・現行法に見合う構造補強を
いかに古いものの価値を見極め、残すか。いかに新しいものを取り入れ、空間を再編集するか。これが再生の肝となりました。
まずは、足りない壁量を増やし、筋交い等で壁の強度を増やし、金物・仕口ダンパーで構造材をつなぐことで、建物自身の耐震性を高めていきました。
2階の小分けになっていた部屋は、壁や天井を抜き、開放感あるリビングルームに。あらわになった小屋裏の丸太や束もそのまま見せ、素材として空間の要素に取り入れました。
壁強度を確保する為に、柱頭に取り付けた仕口ダンパー
あらわになった小屋裏。50年前の丸太梁が出現。
また、もともとの古建具や襖、木製サッシ、竿縁天井など、魅力になりそうな要素は積極的に再利用。構造となる柱や梁などの木部も染色して、古色と白い壁が映える空間へと変わっていきました。
そこに、そっと色を差し入れることで、やさしい色使いのリビング空間へと。
改修後の廊下。壁紙/床は張り替えたが、つくりは当時のまま。
天井材は取り払い、小屋組を魅せた。
募集開始まもなくして、借り手もつき、新たな家主へと住み継がれることに。そんな瞬間は、やはりイチバン喜びを感じるときですね。
古くて利用されていなかった建物が、古くても価値をもった建物へと変わる。やはり、そこには新築にはない魅力があるし、古い住宅でも大切に、永く使っていこうという想いも生まれる。そんな「想い」が、もっと生まれくると嬉しい限りです。
2階のベランダから庭を眺める。
ウッドデッキをつくり、部屋とのつながりをつくった。
井戸を再利用。手押しポンプを取り付けた。
1階の居室から、庭を眺める。
玄関前の塀は取り払い、外部は新たに塗装した。